節水ライフ のはじまりは、水道料金の四割値上げだった。
最近の値上げラッシュで「値上げ」に麻痺していた感覚が、「〇〇から水道料金を四割値上げします」という通知で一気に覚醒した。
「水は貴重な資源」とか「節水しましょう」と言われれば、多少は意識していたつもりだった。
でも、お金を前面に出されると——人間って、けっこう頑張れるんだなと実感する。
その日から、我が家の風呂の残り湯は「ただのお湯」ではなくなった。
冷めていようが、少し汚れていようが、それは“水”。
どこまで使えるのか、最近はちょっとゲーム感覚で挑戦している。
楽しめるって、いいこと。
これは、ほんの小さな工夫で暮らしがちょっと面白くなる、風呂の残り湯の第二の人生の物語。
節水ライフ 風呂の残り湯の転生ルート
ふだんなら流してしまう「ふろの残り湯」。
でも水道料金が四割上がった今となっては、その一滴すらおいそれとは見逃せない。
「もう一度だけ働いてもらおう」。
そう思った私は、ふろの残り湯に“第二の人生”を用意することにした。
温かいうちに、清潔なうちに、ほんの少し工夫をすれば──
今日のあなたの“お湯”は、明日の“役立ち湯”になる。
ここからは、私がたどり着いた残り湯の転生ルート5選をご紹介。
おすすめ順に、楽しくて気持ちいい節水術をどうぞ!
ルート1 水回りの掃除
水回りの掃除に使うのは、とにかく楽。
冷ます必要がないし、むしろ温かい残り湯のほうが汚れがよく落ちる。
たとえば風呂場の掃除なら、そのまま使えばいいだけ。
風呂とトイレが近い家も多いから、バケツで運ぶとしてもそれほど苦にならない。
ちなみに、熱湯は便器を傷めることがあるけれど、人が入れる程度の温度なら問題なし。
ちょっとぬるめのやさしい残り湯が、今日も活躍中。
ルート2 花の水やり
庭が芝生で、家庭菜園もやっている我が家にとっては、風呂の残り湯を水やりに使うのが一番の節水効果。
ホースを使って毎日水やりしていた頃と比べると、かなり違いがある。
ただし、問題は中身。
うちの子は入浴剤が大好きだし、ボディーソープやシャンプーの泡が湯に混じることもある。
入浴剤や洗剤の成分は植物には向かないから、使える日は限られてしまうのが正直ちょっと残念。
でも、植物のために入浴してるわけじゃないし、そこは割り切ることが重要。
使える日はありがたくと思うことにしているが、まあ、翌日雨予報のときは「無駄がなくっていいね」と思ってしまうのは、仕方がないことなのだろう。
ルート3 車を洗う
洗剤成分が混ざっている残り湯でも活用できるルート。
とはいえ、車の屋根からザバッとかけるような本格洗車は難しい。
でもタイヤまわりならちょうどいい。
バケツひとつで手軽に始められるし、温かいままならブレーキダストや泥汚れも落ちやすい。
そして何より、タイヤをキレイに保つことで劣化を防げるという副産物つき。
タイヤに汚れがこびりついたままだと、ゴムに含まれる老化防止剤がきちんと働かず、ひび割れや劣化の原因になるから、結果として「買い替え」になる前に、軽く洗っておくだけでタイヤの寿命をのばせるのはうれしい効果。
風呂の残り湯があるからこそできる、“ついでの手間で未来が変わる”メンテナンス。
仕上げにUVカットタイプのタイヤワックスを塗れば、なお完璧。
おすすめポイント:吹き付けてあとは放置
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ルート4 靴を洗う
「どうせ汚れものなら、残り湯で」がすっかり合言葉になった。
洗剤成分はもちろん、入浴剤が入っていても問題なく使えるのがこのルートのいいところ。
温かいままの湯を使えば、靴に染み込んだ汗や皮脂汚れも落ちやすい。
特にスニーカーや子どもの上履きなど、“汚れていて当たり前”のものにはもってこい。
汚れ物を洗うためにわざわざきれいな水を使うのは勿体ないと感じていたなら試してみて。
毎日のことではないから、無理のない節水バランスなのかもしれない。
おすすめポイント:子どもの作る汚れに大抵対応
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ルート5 打ち水
夏限定の使い道だけど、日本でも有数の暑さを誇る熊谷のそばに住む身としては、「涼」はとても大事。
昨年の夏は雨がほとんど降らず、夜になっても熱気が残ったまま朝を迎えるような日が続いた。
今年は5月ですでに夏日と暑い日があり、「どうせ捨てる水なんだし」と思って、ふろの残り湯をベランダや玄関先に打ち水してみた。
ほんの少しの水で、地面から立ちのぼる熱気がふっと静まる感覚が、なんとも気持ちいい。
子どもは水遊びが大好きだから、ひしゃくを買って一緒に打ち水ごっこをするのもまた一興。
季節の知恵が遊びになって、節水にもなる。
こんなふうに夏を乗り切れたら、それだけで小さな勝利だと思えるのだ。
節水ライフ のために、定期的な風呂釜のケアも重要
ふろの残り湯を上手に使うことは、節水においてとても理にかなっている。
でも、一晩保管した湯には目に見えない“やっかいな同居人”が増えていることも──。
風呂釜の中には、皮脂汚れや雑菌が潜みやすく、時間が経てば経つほど細菌が増殖しやすい環境になってしまう。
節水ライフを安全に、そして長く続けるために知っておくべき、注意しておきたい菌のこと、そして風呂釜のお手入れ方法をまとめておく。
繁殖する細菌の種類
残り湯に多く含まれるのは、皮膚から落ちた常在菌や汚れに含まれる雑菌たち。
目に見えないけれど、時間と共に確実に繁殖する存在。
とくに注意したいのは以下のような菌。
- 表皮ブドウ球菌や大腸菌群
- 入浴時に自然と混じる菌で、放置すれば数万〜百万単位にまで増殖することも。
- 表皮ブドウ球菌は通常は無害、数が増えると臭いやぬめりの原因になる。
- レジオネラ菌
- 追い焚き配管内のぬめりや温かい水環境で増えやすい。
- 吸い込むことで肺炎などを起こすこともあり、免疫の低い子どもや高齢者がいる家庭は特に注意が必要。
風呂釜のケア方法
定期的な風呂釜掃除は、節水ライフの安心感を底上げしてくれる存在。以下のようなポイントをおさえておくと効果的。
- 1〜2ヶ月に1回は専用洗浄剤で配管内を洗浄
- 酸素系の洗剤や追い焚き洗浄専用のアイテムがおすすめ。
- ぬる湯での追い焚き循環は避け、可能なら残り湯はその日のうちに使い切る
- 夏場は特に雑菌の繁殖スピードが早いため注意。
- 浴槽の髪の毛や垢などは入浴後に取り除いておく
- これだけでも菌の増殖スピードをかなり抑えられる。
おすすめポイント:1~2ヶ月に1回掃除していれば安い商品で十分だと思う
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【まとめ】 節水ライフ は “楽しい” と思える範囲内で
節水は、我慢や犠牲だけでは続かない。
それはどこかで疲れてしまったり、ストレスとして蓄積されるものだから。
でも、「ちょっと工夫してみたら面白くなった」と暮らしの中に遊び心や余白があると、節水もひとつの楽しみ方になる。
残り湯に“第二の人生”をプレゼントする。
それが節約になって、地球にもやさしくて、ちょっとだけ家族の話題にできたなら──
それはもう、十分すぎるくらい価値のあることだと思う。
無理なく、気張らず、自分のペースで。
節水ライフは「楽しい」と思える範囲でやるのがちょうどいい。
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