―― ハマスゲ 。
ずっと「なんか嫌な雑草」としか思っていなかった。
でもある日、ふと調べてみたら――名前があった。
ハマスゲ。
Googleの画像検索はすごく便利だ。
見慣れたあの姿が、そこにあった。
ハマスゲは、庭の芝生の隙間から毎年必ず生えてくる。
抜いても、抜いても、また生えてくる。
とにかく、しぶとい。
根っこがやたらと深くて、スコップで掘っても途中で切れる。
気づけば芝より元気に育っている……すごくイラッとする。
でも、「ハマスゲ」という名前を知ったとき、ただの雑草が“敵”に変わった。
「こいつを倒すにはどうすればいいか」
そう思って調べ始めたら、同じように悩んでいる仲間がたくさんいた。
みんな苦労している。
私も、頑張ろうと思った。
ハマスゲ とは?

- カヤツリグサ科の多年草
- 地下茎(塊茎)で増えるため、地上部を刈っても意味がない
- 芝生や畑に入り込むと、他の植物の成長を妨げるほどの生命力
ハマスゲの生命力の強さから外来種かと思っていたが、外来種ではなく日本の在来種だった。
生育環境がマッチしている、グングン伸びるわけだ。
ハマスゲは世界の熱帯~亜熱帯に生息しており、地域によっては「世界最強の雑草」とも呼ばれる。
……知らぬ間に、私は世界最強と戦っていたらしい。
ハマスゲ の駆除は「掘る」ー地味だけど確実
ハマスゲ は塊茎で繁殖する。
地上部に何をしても意味はない、塊茎(丸い根の塊)を掘り出すことが重要になる。
掘る、探す、捨てる。
これが一番効果的。
ハマスゲ に効く除草剤 ー 薬には二種類ある
ハマスゲに適した除草剤はあるが、使用場所と目的に注意して次のどちらか選ぶ必要がある。
- すべての植物を枯らしていい場合 →非選択性除草剤
- 芝は残しておきたい場合 →選択性除草剤
選択性除草剤は芝のような「イネ科」に効かない・効きにくい除草剤。
畑には使えない。
1. 全てを枯らす非選択性除草剤
商品名 | 有効成分 | 特徴 |
---|---|---|
ラウンドアップマックスロード | グリホサート | 地下の塊茎まで枯らす 作物がない場所向け 希釈タイプ・シャワータイプあり |
サンフーロン | グリホサート (ジェネリック) | ラウンドアップと同等の効果 価格が安い 農耕地用・非農耕地用あり |
ネコソギロングシャワー | グリホサート系 | 広範囲に使えるシャワータイプ |
芝生や作物にも影響するので次の注意が必要。
- ハマスゲ密集地などピンポイントで使う
- 畑の場合は何も植えられていない時期を選ぶ
- 養生する
2. 芝生には効かない選択性除草剤
商品名 | 有効成分 | 特徴 |
---|---|---|
シバゲンDF | フラザスルフロン | 芝生に使える ハマスゲにも効果あり 噴霧器が必要かも |
グリーンアージラン液剤 | MCPPなど | 広葉雑草や一部のカヤツリグサ科に対応 |
シバキープエースシャワー | アシュラムなど | ホームセンターでも入手しやすい 家庭用タイプ |
芝生を守るために除草効果は弱いので定期的に散布する必要がある。
面倒臭がって濃くすると芝生も枯れる。
なんで芝生(イネ科)には効かないのか
選択性除草剤は“イネ科の特徴”を利用した、科学的なピンポイント攻撃。
芝生などイネ科の植物の代謝の違いを利用して、芝生には影響を与えず広葉雑草やカヤツリグサ科の雑草だけを枯らすように設計されている。
- 芝生(イネ科)は薬剤を分解・無毒化する酵素を持っている。
- 広葉植物やカヤツリグサ科の雑草は薬剤の分解・無毒化ができず、薬剤の影響を受けて枯れる。
葉っぱの形も、イネ科の植物は薬剤の影響を受けにくくなっている。
- イネ科の葉は細くて立っており、薬剤が付着しにくく、流れ落ちやすい。
- イネ科植物は成長点(新芽)が地表より下にあることが多く、薬剤が届きにくい。
- 広葉植物は葉が広くて平たいので、薬剤がしっかり吸収されやすい。
以上のことから、イネ科は比較的薬剤に強いが無敵というわけではない。
非選択性除草剤に多く使われている「グリホサート」はイネ科にも効くし、メタゾスルフロンなどイネ科雑草専用除草剤も存在する。
【まとめ】 ハマスゲ との戦いは根気がカギ
ハマスゲは、しぶとくて、強くて、世界最強クラスの雑草。
でも、名前を知り、仕組みを知れば、戦い方が見えてくる。
掘る。探す。捨てる。
必要なら、薬も使う。
敵を知れば、勝率は上がる。
今年もまた、スコップ片手に、静かな戦いが始まる。
同じく苦労させられる雑草「ドクダミ」についてはこちらを読んでほしい。
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