暑さ対策 という言葉が定着している日本。
この暑さ 、2024年は約10万人の日本人を病院送りにした「日本」はもう一種のダンジョンではないか?
今年も5月からこのダンジョン攻略に私は頭を悩ませている。
大人はいい、問題は限界を知らない子どもたちだ。
どう対策するかを毎日、9月まで考え続けるのが私の仕事だ。
埼玉から横浜に行った日、私は気づいてしまった。
同じ「暑い」でも、質がまるで違うということに。
埼玉の暑さは、熱が逃げ場を失っていて、どこにいても体が休まらない。
一方、横浜の暑さは、温い湿気がずっと肌に貼りついてくるようだった。
この違いは海があるか・ないか。
埼玉や岐阜のような「海属性のないダンジョン」は逃げ場のない熱気に襲われる。
一方で横浜や神戸のような「海属性のあるダンジョン」はまとわりつくような湿気に襲われる。
四十年、日本で暮らしてきた私ですら、遠征先のダンジョンで“属性違い”に体力を削られるのだから、
初めて日本の夏を体験する外国人観光客が戸惑うのも無理はない。
実際、横浜の駅前では、汗を拭きながら立ち尽くす旅行者たちの姿が目に入った。
「暑さ対策が間違っているのでは?」
そう思ったのは、彼らだけじゃない。
私もまた、装備を間違えたひとりだった。
私はすぐに子どもたちの上着を脱がせて通気性を上げ、のどの渇きに気づかないので時間を見ながら水分補給をさせた。
暑さ対策 のポイントは「湿度」ー 日本のダンジョンは欧米に比べて湿度が高い
日本の夏は、欧米と比べて圧倒的に湿度が高いのが特徴。
日本の夏は気温・湿度ともに高いため、外国から来た人はまず「異常な蒸し暑さ」と感じるらしい。
日本は欧米の都市に比べて気温と湿度が高い
以下に、代表的な都市との比較をまとめてみた。
エアコンの「快適自動」の設定では温度は26〜28℃、湿度は50〜60%前後らしいため、気温は29℃以上、湿度は60%以上の数値に色を付けてある。
都市 | 平均気温(7月) | 平均湿度(7月) |
---|---|---|
東京 | 約31℃ | 75〜85% |
埼玉(熊谷) | 約33℃ | 70〜80% |
ロンドン(英) | 約23℃ | 60〜70% |
パリ(仏) | 約25℃ | 55〜65% |
ニューヨーク(米) | 約29℃ | 60〜70% |
ロサンゼルス(米) | 約28℃ | 40〜60% |
- 日本の夏は気温と湿度の両方が高く、体温が下がりにくいため、非常に不快で危険。
- 欧米の都市は気温が高くても湿度が低いため、汗が乾きやすく体温調節がしやすい。
- 特にロサンゼルスなどの乾燥地帯では、同じ30℃でも“快適”に感じることが多い。
ニューヨークの場合は「蒸し暑い日もあるが、日本ほどではない」と言われており、日本の場合は「蒸し暑い日が続く」だから連日の暑さに参ってしまうことだろう。
日本の暑さの原因
日本の暑さの原因は、以下のような気候的・地理的要因にある。
- 太平洋高気圧の影響:日本列島は夏になると太平洋高気圧に覆われ、高温多湿な空気が停滞しやすくなる。
- 山と海に囲まれた地形:湿った空気が流れ込みやすく、風が抜けにくい都市構造も多い。
- 都市のヒートアイランド現象:特に内陸部では、熱がこもりやすく夜間も気温が下がりにくい。
日本の「まとわりつくような暑さ」は、湿度によって体温が下がりにくくなることが主な原因。
欧米の多くの都市は乾燥していて風通しが良く、汗がすぐ乾くため、同じ気温でも体感がまったく違う。
暑さ対策 、地域に合わせた装備選びが重要
暑さ対策の基本は「体温を上げないこと」だが、地域の“属性”に合わせた装備選びが重要。
ポイントは「海」。
海からの湿った風が入ってくる海あり県の場合、湿度が高いせいで体温を下げるための「汗の蒸発」がうまく機能せず、体に熱がこもりやすい。
風が少なく熱気がたまりやすい海なし県の場合、湿度はやや低めで汗は乾きやすいため海あり県に比べれば体温調節はしやすいが、気温が非常に高く熱気が逃げにくく、汗がとまらず脱水症状に陥りやすい。
「熱中症リスク」とするとどちらも同じ「高い」だが、リスクの“質”が違うことに注意が必要。
海あり県の場合は、汗の蒸発をサポートする装備+風を送るアイテム
海あり県の場合は汗の蒸発が上手くいかず熱が体内に籠るので、汗の蒸発をサポートする装備が有効。
- リネンやメッシュなどの速乾性のある衣類
- 携帯扇風機やうちわなどの風を送るもの
子ども連れの場合、着替えを多めに持ち歩くことを勧める(汗をかいた状態で涼しい屋内にいると風邪をひく)。
またベビーカーは防水機能の都合でポリエスエルやナイロンなどが使われていることが多く、風通しが悪いため内部はかなり蒸し暑い状態になる。
小まめに日陰にはいり、空気を入れ替えるなどの工夫が大切。
海なし県の場合は、日光を浴びない装備+体を冷ますアイテム
海なし県の場合は外気温の高くて体内に熱がこもると冷めにくいため(汗の蒸発のサポートでは間に合わない)、体に直射日光を当てないことと体を冷やすことが重要。
長時間の外出の場合はPCMネックリングがいい。
PCMとは相変化素材を利用した素材で28℃前後で自然に凍結、屋内での休憩中に凍結すれば一日に何度も冷たい状態で使用できる。
アスファルトからの熱の影響は小さな子どものほうが受けやすいため、子連れの場合は万が一に備えて氷のうを準備しておくといい(赤ん坊の場合はネックリングよりも氷のうのほうが安全)。
またベビーカーは日差しを予防するため黒いものが多いが、その分熱を吸収して内部はかなり暑くなるため、氷のうや氷枕で子どもの体を冷ませるようにすることを勧める。
クーリングアイテムは使いどころを間違えない
屋外にいるときに汗拭きシート、冷感スプレー、制汗スプレーを使うのはやめたほうがいい。
特に、制汗スプレーには発汗を抑える機能があるため体温が下がりにくくなり、結果として体内に熱がこもりやすくなって熱中症リスクが高まる。
暑い中で外出する場合は発汗機能を妨げてはいけない。
汗拭きシートも制汗スプレーも外出を終えてから、体の熱を冷ましたいときに有効。
水分補給の理想的な方法
水分補給の理想的な方法は、1~2時間に150~200mlの水分を摂取すること。
一度に大量の水分を摂取すると胃腸に負担がかかるため、小まめに少量摂取するといい。
摂取する水分は、水だけを飲み続けると、体内のナトリウムやカリウムなどの電解質が不足するので「麦茶」がいいが、麦茶が苦手な場合は塩分を補給できる飴やタブレットを携帯するといい(夏のコンビニには大体置いてあるので問題ない)。
スポーツドリンクで水分補給する場合、塩分と糖分の過剰摂取の恐れがあるので水を並行して飲むといい。
水分補給にカフェインやアルコールはNG。
お酒を飲んだときは一緒に水を摂取すること。
寝る前の水一杯が明日のあなたを救う。
暑さ対策 、熱中症のサインを知っておく
海あり県と海なし県では暑さの「質」が異なるため、熱中症の症状やリスクの出方にも違いが出る可能性がある。
海あり県の症状:のぼせ
- 湿度が高く、汗が乾きにくいため、体温が下がりにくく“のぼせ”やすい。
- 体内に熱がこもり、頭痛・吐き気・倦怠感・意識のぼんやりといった症状が出やすい。
- 特に風が弱い沿岸部や都市部では、湿気が滞留しやすく、「蒸し風呂」のような状態になることも。
子どもの場合、「汗が出ているのに顔が火照っている」や「ボーッとしている」といった様子がみられる。
海なし県の症状:脱水
- 気温が非常に高く、日差しが強烈。汗は乾きやすいが、大量にかき続けるため、脱水症状が起きやすい。
- のどの渇きに気づきにくい「隠れ脱水」に注意
- 体内の水分不足により、足がつる・めまい・ふらつきといった症状が出やすい。
子どもの場合、「汗がとまらない」「フラフラしている」「足が痛いと訴える」といった様子がみられる。
暑さ対策、日本の暑さに直面する前に「暑熱順化」
本格的な暑さがくる前に発汗機能を活性化させておこう、これが暑熱順化。
体が汗をかくことに慣れていないと、発汗して体温を下げることができない。
このウォーミングアップ、最近は日本も急激に暑くなるから4月くらいに暑熱順化の大切さをメディアが訴える。
これでも倒れる人が年間10万人ほどいるのだから、欧米からの観光客が「おおう」となっても仕方がない。
「暑熱順化」 体の汗をかく機能を強化する
強化期間は数日~2週間ほどとみるといい。
- 週3~5日、軽く汗ばむくらいの運動をする(目安:ウォーキング30分間)
- サイクリングや階段の利用など、日常に軽い負荷を加える
- スクワット、プランク、ヨガなど、エアコンを控えめにした室内での運動でも効果はある(目安:30分間)
【まとめ】 暑さ対策 は属性に合わせる
- 暑さの“属性”を見極める
- 海あり県か海なし県か
- 装備・アイテムを間違えない
- 海あり県は「蒸し暑さ」に対応したものを用意
- 海なし県は「熱気」「直射日光」に対応したものを用意
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