2025年春、 百日せき の感染が全国で急増しています(1週間で2000人の感染者が確認)。
特に新潟県・兵庫県・沖縄県で患者数が多く、都市部でも報告が続いています。6年ぶりの高水準となっており、連休明けのさらなる感染拡大が懸念されています。
百日せきは、長期間続く激しい咳が特徴の感染症で、特に乳幼児が感染すると重症化するリスクがあります。
今回は、百日せきの症状や対処法、感染拡大を防ぐためにできることについて詳しく解説します。
百日せき の症状
百日せきは、百日せき菌(Bordetella pertussis)による急性の気道感染症です。症状は3つの段階を経て進行します。
- カタル期(初期)(1~2週間)
- 軽い咳、鼻水、微熱など風邪に似た症状
- この時期は感染力が強く、周囲に広がりやすい
- 痙咳期(ピーク)(2~3週間)
- 発作的な激しい咳が続く
- 咳の後に「ヒュー」と音を立てて息を吸う(笛声)
- 咳の発作後に嘔吐することも
- 回復期(終盤)(数週間~数ヶ月)
- 咳が徐々に軽減するが、長引くことが多い
- 体力の消耗が激しく、完全回復まで時間がかかる
特に乳児は無呼吸発作やチアノーゼ(顔色が青くなる)を起こすことがあり、重症化のリスクが高いため注意が必要です。
百日せき 流行中|咳の症状で病院を受診するときの注意
病院を受診するとき、医師が正確に診断するためには症状や経過に関する具体的な情報が重要になります。受診前にメモを取っておくとスムーズに報告できます。
- 基本的な情報
- いつから症状が出ているか(例:「3日前から咳が出始めた」)
- 悪化のタイミング(例:「夜に咳が悪化する」)
- 自分で試した対策とその効果(例:「市販の咳止めを飲んだけど改善しない」)
- 過去の病歴・服用している薬
- 持病や過去の診断歴(例:「喘息の診断を受けたことがある」)
- 現在服用している薬(処方薬・市販薬・サプリメント)
- アレルギーの有無(薬・食品・環境アレルギー)
- 感染リスクや周囲の状況
- 同じ症状の家族や職場の人がいるか(例:「学校で咳をしている人が多い」)
- 最近の外出履歴や流行地域との接触(例:「〇〇を旅行中、咳している人が多かった」)
百日せき の予防接種は定期接種
子どもの百日せきの予防接種は定期接種(対象期間内ならばワクチン接種を無料で受けられる)で実施されています。
現在、日本では五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)または四種混合ワクチン(DPT-IPV)が標準的に使用されており、DPT-IPV(百日せき・ジフテリア・破傷風・ポリオの予防)、五種混合ではDPT-IPVにヘモフィルスインフルエンザ菌(Hib)の予防が追加されています。
【注意】予防接種をしていても 百日せき になる
百日せきの予防接種は、感染を完全に防ぐものではなく、重症化を防ぐことが主な目的です。
ワクチンの効果と免疫の持続期間
- 乳幼児期の定期接種で免疫を獲得
- ワクチンの効果は約4~7年で減少し、10歳前後で免疫が低下することが多い
- 追加接種(3種混合ワクチン)を受けることで免疫を維持できる
日本では百日せきの追加接種が定期接種ではないため、免疫が弱まる10歳以降は感染することがあります(追加接種を受けることで予防効果を高めることができる)。追加接種の三種混合ワクチン(DPT)の費用は、1回約1万円が目安のようです。
百日せき の対処法
百日せきと診断された場合、早期の治療が重要です。
- 抗菌薬(抗生物質)による治療
- マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンなど)が一般的
- 早期に服用することで症状の悪化を防ぎ、感染拡大を抑える
- 咳を和らげる対症療法
- 加湿器を使用して空気を潤す
- 水分補給をこまめに行い、喉の負担を軽減
- 咳止め薬は医師の指示に従う(自己判断での服用は避ける)
- 乳児の場合は入院が必要なことも
- 酸素投与や吸引などの専門的なケアが必要になることもある
百日せき |感染拡大を防ぐためにできること
百日せきは飛沫感染で広がるため、予防策を徹底することが重要です。
- ワクチン接種
- 生後2か月から定期予防接種(五種混合ワクチン)を受ける
- 妊婦のワクチン接種で赤ちゃんへの免疫移行を促す
- 成人の追加接種(ブースター接種)で免疫を維持
- 基本的な感染対策
- 手洗い・うがいの徹底
- 咳エチケット(マスク着用・袖で口を覆う)
- 体調不良時は外出を控える
- 家庭内感染を防ぐ
- 家族全員がワクチン接種歴を確認
- 長引く咳(3週間以上、夜間悪化するのが特徴)がある場合は早めに受診
百日せきは、大人が軽症のまま感染源となることが多いため、家族全員の予防意識が重要です。
まとめ| 百日せき の流行に注意!
百日せきは、長引く咳が特徴の感染症ですが、適切な予防と早期治療で重症化を防ぐことができます。今後の感染拡大を防ぐためにも、ワクチン接種や感染対策を徹底していきましょう。
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