コロナに感染しても「無症状」になりやすい遺伝子を発見

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  米カリフォルニア大学などが、新型コロナウイルスに感染しても症状がない人に多い遺伝子的な特徴を発見したと発表しました。
 この研究成果は英科学誌ネイチャーに掲載。

「無症状」になりやすい遺伝子

 免疫には「型」があり、この免疫の型を決める分子「HLA」の配列が特定のタイプの人は新型コロナウイルスに感染後も「無症状」になりやすいとのこと。

 専門的な表現をすると、このHLAのB15部分が変異しているタイプで、「HLA-B15:01」と呼ばれるタイプの遺伝子。

 研究チームは、HLAの詳細な遺伝子配列が分かっている骨髄ドナー登録者のうち、2021年4月末までに新型コロナウイルスの検査で陽性になったワクチン未接種の白人約1,400人を調査。
 このうち無症状だった約140人のうち、「HLA-B15:01」は約20%を占めた(症状があった人のうち、「HLA-B15:01」は9%にとどまる)。

 HAL検査をすると、遺伝子型ごとに2つの型が判明。
 これは父親と母親の型を1つずつ受け継いでいるからで、片方だけが「HLA-B15:01」の人と、両方が「HLA-B15:01」の人がいます。
 片方のみの場合は約2倍、両方の場合は約8倍、他のタイプに比べて無症状になりやすかったそうです。

「無症状」になりやすい理由

 「HLA-B15:01」タイプの人のT細胞(ウイルスを倒す免疫細胞)は、新型コロナウイルスに感染する前から、新型コロナウイルスの一部に強い免疫反応を示しました。

 体内の免疫システムは一度感染した病原体の情報を記憶しているので、次に同じ病原体に感染しても素早く倒すことができます。
 この免疫システムを利用し、事前にウイルスを接種して体に免疫を作っておき、感染症に備える取り組みがワクチン接種です。

 「HLA-B15:01」タイプの人のT細胞は、従来のコロナウイルスに感染したときの記憶を使って新型コロナウイルスを判別し、素早くせん滅できたのだと研究者たちは結論づけました。

 素早くせん滅する(=ウイルスの増殖を抑えられる)ので無症状になりやすい可能性があるそうです。

「無症状」になりやすい人が分かると、どうなる?

 「HLA-B15:01」が新型コロナウイルスに感染しても無症状ですむシステムを解明し、そのシステムを薬で代替することができれば、新型コロナウイルスに感染しても無症状ですむ可能性がでてきます。

 遺伝子は生まれたときから決まっているので、「HLA-B15:01」が新型コロナウイルス感染症の症状軽減に役立つと分かっていてもHLAのB15列を変異させることは不可能。
 これまでの研究で「HLA-B15:01」はヨーロッパ系の白人の10%が持つことが知られています。

参考サイト

感染症:SARS-CoV-2の無症候性感染の遺伝的基盤 | Nature | Nature Portfolio (natureasia.com)

参考:HLAとは | HLAについて | HLA研究所

 細胞の仕組みについては「はたらく細胞」が分かりやすく、雑菌やウイルスと戦う白血球とT細胞の違いや免疫システムが分かりやすく表現されています。


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2024年2月8日 更新

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