電車や飛行機を止めてしまった 。
自分が、家族が、と考えた人は多いだろう。
電車を停めた原因として「自殺」が真っ先に浮かぶ私としては、「私に限って」とか「うちの家族に限って」と他人事に思えたが、意外と“自分たちにもあり得る理由”で止まる。
先日止めたのは「 モバイルバッテリー 」。
私ももっているそれで、山手線が上下共に1時間以上停まった。
あの山手線だ。
このニュースを聞いたとき「損害賠償はいくらだ?」と思った。

電車を停めた場合の損害賠償額は、状況によって数百万円〜数千万円規模になる可能性があります。
このニュースがキッカケで「モバイルバッテリー」に注目が集まり、発煙・発火事故の増加にともない2025年7月から飛行機への持ち込みルールが変わったことを知った。
「飛行機を停めちゃったら損害賠償はいくらだろう」と思った。

飛行機の運行を妨げた場合の損害賠償額は、状況によって数百万円〜数億円規模になる可能性があります。
……数億!?
電車や飛行機を止めてしまった 「理由」が重要
責任を問うにあたって「理由」が故意かどうかが重要になる。
故意の認定に影響する要因は次の4つ。
- 行為者の年齢・精神状態・動機
- 結果を予見できたかどうか
- 危険性を認識していたか
- 過去に同様の行為をしていたか(反復性)
未成年の場合は?
基本的に「12歳未満は責任能力なし」とされる傾向が強いが、あくまでも傾向。
責任能力については個別判断が重視され、個別の判断結果によっては12歳未満でも責任に問われる。
また行為者が「責任能力なし」となっても、親権者などが損害賠償責任を負う可能性はある(状況による)。
認知症の場合は?
基本的に「責任能力なし」とされる。
ただし監護者などが損害賠償責任を負う可能性はあり、行為者が老人ホームに入居している場合はホームの管理者(法人)にも責任が及ぶ可能性がある。
心神喪失・心神耗弱の場合は?
精神科医らによって「行為時に善悪の判断能力が著しく欠けていた」と判断された場合は「責任能力なし」とされる傾向が強い。
電車や飛行機を止めてしまった |所持品が原因の場合は?
原因が人間(その行為)の場合は「故意かどうか」の判断ができるが、原因が物の場合はどうなるのか。
具体例で言えば、先日起きた「モバイルバッテリーから発火したことによる電車の緊急停止」だ。
判断のポイントは「正常に使用していたかどうか」。
モバイルバッテリーを例にする。
- 正常使用中に突然発煙・発火した場合:PL法に基づき製造者の責任になる
- 破損・膨張・異常を認識していたのに使用していた場合:使用者の責任
- 改造・分解・非正規品の場合:使用者の責任
モバイルバッテリーに内蔵されているリチウムイオン電池は経年劣化し、劣化すると使用時に熱くなったり外装が膨れることが多い(劣化が進むと発火など事故を起こす危険性があるため早めに処分する)。
所持品がリコール対象の場合は?
山手線で発火事故を起こしたモバイルバッテリー「cheero Flat 10000mAh」は2023年からリコール対象として回収・返金対応中だった消費者庁公式サイト。
そのため「所有者がリコール対象と認識していたかどうか」が損害賠償の判断材料になると言われている(リコールの周知状況や購入経路によって判断)。
電車や飛行機を止めてしまった 「賠償」に保険は使える?
個人が発生した事故に対する賠償責任は「個人賠償責任保険」で保障されるが、保険の約款によっては免責になることもある。
- 個人賠償責任保険で補償される
- 行為者本人に責任能力がなく、代わりに監督義務者として責任を問われた場合(「電車等運行不能補償特約」が有効)
- 個人賠償責任保険で補償されない
- 故意による行為(いたずら・妨害・自殺など)の場合、「故意による損害」となり免責になることが多い
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