春の訪れとともに楽しめるワラビやタケコノには独特の「 あく 」があり、そのままでは強いえぐみや渋みを感じるため適切な「あく抜き」が必要になります。
今回、「あく」とは何か、なぜ春の野菜に含まれるのか。
また春は健康診断の季節、「 あく 」のある食材が健康診断結果にどのような影響を与えるのか(食べ過ぎ注意)について詳しくまとめました。
「 あく 」とは何か?
「あく(灰汁)」とは、食材に含まれる渋み・えぐみ・臭みの原因となる成分のこと。
春野菜に多く含まれるのは以下のようなもの:
- シュウ酸:えぐみの正体。ほうれん草やタケノコ、わらびに多い
- ポリフェノール:苦みのもと。抗酸化作用もある
- アルカロイド:わらびに含まれる天然毒。神経に作用することも
- タンニン:渋みの原因。胃を荒らすこともある
春の野菜に「 あく 」が多い理由
春野菜は成長のために栄養を蓄えているため、外敵から身を守るために“あく”が必要。
たとえば:
- アルカロイド:害虫や動物に食べられないようにする防御物質
- シュウ酸:雑菌の繁殖を抑える抗菌的な働きもある
つまり、あくは植物の“自己防衛本能”。
それを人間が「おいしく食べる」ためには、ひと手間かけて“通過儀礼”を済ませる必要があるというわけ。
あく を抜く方法は食材によって違
「あく抜き」はあくの種類によって異なる。
わらびのあく抜き(シュウ酸+アルカロイド)
- 強いあくを含むため、アルカリ性の重曹や灰を使う
- 熱湯を注ぎ、一晩置くことでシュウ酸を中和
- 長時間放置することでアルカロイドも除去
たけのこのあく抜き(シュウ酸)
- 比較的弱いあくのため、米ぬかを使って自然な風味を保つ
- 炭酸水を使うことでシュウ酸を緩やかに中和する方法もある
- 長時間煮ることでえぐみを軽減
つまり、わらびは強いあくのため「強い中和処理」が必要で、たけのこは風味を損なわない「穏やかな処理」が適しているという違いがある(重曹を使ってたけのこのあく抜きすると風味が損われる)
あく を食べたらどうなる? 体への害は?
あくのある食材を適切に処理せずに摂取すると、健康に影響を与える可能性があります。
安全に美味しく春の野菜を楽しむには、適切なあく抜きが重要になります。
シュウ酸の影響
- 過剰摂取するとカルシウムと結合し、尿路結石の原因になる
- 水溶性なので、茹でることで約50%減少
シュウ酸カルシウムが結晶化しやすいため、水分を十分に摂ることで排出を促し、結石のリスクを抑えることが重要。
アルカロイドの影響(わらび)
- 大量摂取すると神経毒性があるため注意が必要
- しっかりあく抜きすれば問題なく食べられる
ポリフェノール・タンニンの影響
- 過剰摂取で胃を荒らすことがある
- 適度な摂取なら抗酸化作用があり、むしろ健康に良い
健康診断に影響は?
春は健康診断の季節。
実は、あくのある食材を食べすぎると、検査結果に影響が出る可能性がある。
尿検査に影響する項目
- 尿中シュウ酸カルシウム → シュウ酸が多いと結晶化し、尿路結石のリスクが高まる
- 尿pH → シュウ酸が多いと尿が酸性に傾きやすくなる(5.0~5.5)
- 尿潜血 → 結石ができると尿に血が混じることがある
血液検査に影響する項目
- カルシウム値 → シュウ酸と結合してカルシウムバランスに影響
- 尿酸値 → 間接的に影響を与えることも(シュウ酸が尿酸の排泄に影響を与えることがあるが、直接的な関係は薄い)
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