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生理の貧困 の一番の問題は誰にも言えない悩みであること。

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生理の貧困 が問題視されている。

生理は女性にとって極自然な現象であり、子を産むことに直結するため社会の維持には不可欠。

一般的に月経は10~15歳の間に始まり、50歳くらいまで続く(個人差あり)。

40代半ばの私、生理歴30年。
人生のほとんど、毎月生理がある。

子を産むためといっても生理は負担になる。

身体的にも、精神的にも、そして経済的にも。

女に生まれたから生理があることは仕方がないと思い続けていたけど、妊娠して生理が止まったときに「楽だ」と感じた。

女性であることにも子どもを産むことにも忌避感はなかった。

この先に産みの苦しみが待っていると分かっていても「楽だ」と感じ、生理による負担の大きさを実感した。

男性が共感できるとしたら、経済負担「生理用品の購入費」ではないだろうか。

生理用品は月経期間中も普段通りの生活をするために必要不可欠なもので、衛生面を考えてもそれなりの数を毎月消費する。

社会的に不可欠な現象といっても生理用品を支給する制度は少ない。

「 生理の貧困 」とは?

生理の貧困 とは生理用ナプキンやタンポンなどの生理用品を「使えない」状況を指す。

この「使えない」には次のような理由がある。

  • 経済的な問題
  • トイレの設備の問題
    • サニタリーボックスがない
    • トイレ内が不衛生で触れたくない
  • 社会的な偏見
    • 生理を「恥ずかしいこと」や「汚いこと」と思う
    • 生理に関連する適切な知識・理解に対する教育不足

経済が悪化すると「生理の貧困」も悪化する

コロナ禍で収入が激減する人が多かったとき、高校生・大学生(15〜24歳)を対象にした生理の貧困に関するアンケート調査が行われた(全国調査ではない可能性あり)。

  • 経済的な理由で生理用品を買うのに苦労した …20%
  • 買えなかったことがある …6%
  • 生理用品を交換する頻度を減らしたことがある …37%
  • トイレットペーパーなどで代用したことがある …27%

この結果について、調査をした会社「#みんなの生理」の共同代表・谷口さんの総評。

想像以上に深刻な数字が出たというのが正直な感想です。今までは海外で起きていることという雰囲気がありましたが、ほとんど同じような状況が日本でも起きていると分かりました。

「 生理の貧困 」は“隠す”が原因

日本人の女性の多くは生理であることを「恥ずかしい」と思う傾向にあり、生理中であることを隠す傾向にある。

例:

  • 学校のトイレにいくときは生理用品を隠して持っていく
  • コンビニで生理用品を買ったときは「それ」と分からないようにする

隠すのは「血が出る」に忌避感があるから

「禁忌」を意味する言葉「tabu(タブー)」にはポリネシア語の「月経」が関連があるとされる(諸説あり)。

「血は穢れ」という考えから、「月経中の女性」または女性そのものを禁忌とする考えは日本だけではなく世界的にある。

生理であることを隠さなければいけないと感じる理由、それはこの「禁忌」の遺物とも言える。

日本における「生理に対する考え方」の歴史

平安時代の書物には、「穢れである血を神聖な宮中に持ち込まないという考え方」がかかれている。

  • 出血を伴う怪我や月経時には参内を控える
  • 出産のときは后は宮から実家に戻る

月経禁忌の慣習は拡がり、穢れが移らないために月経時の女性を小屋に隔離する慣習も生まれた。 

月経禁忌の慣習は明治時代初期から徐々に減ってきたが、古い慣習が残りがちな地方の村などは戦後まで残っていたという。

Copilot
Copilot

神聖性と血の忌避感が絡み合い、女性の身体性が「穢れ」として扱われてきた歴史です。現代では制度的な禁止は減ってきたものの“伝統”という名のもとに女性の参加が制限される構造は依然として残っています。

生理の貧困 による健康上のリスク

生理用品を使わない場合、生理用品の代わりに布切れ、ペーパータオル、トイレットペーパー、新聞紙などを使っていることがある。

これは衛生的に問題があり、尿路感染症や細菌性膣炎など泌尿性器感染症のリスクがある。

生理の貧困対策

2025年7月更新

日本では都道府県や自治体レベルでの配布が進んでいるが地域差が大きいのが課題である。

埼玉県の場合:学校に常備
・県立高校(女子生徒が在籍する全校)には県が生理用品を常備・無償提供
・小中学校については自治体が対応(学校に常備しているケースが多い)

2020年11月に英・スコットランドでは世界で初めて生理用品の無償提供を義務化する法案が可決。

この法案により、学校や大学などで生理用品が無料提供。
その他の機関などでも同様の措置が求めらた(プライバシーが守られた状態で配布することが求められている)。

スコットランドを皮切りに、次のような取り組みが世界中で行われている。

国・地域実施内容(要約)
ソウル市(韓国)18歳以下の全少女に生理用品を無償支給(条例化・約32万人が対象)
ボストン市(米国)市内77の公立学校で生理用品を無償配布
NY州(米国)生理用品を非課税化(約8.75%→非課税)
イギリス女子学生への無償配布
タンポン税の撤廃(付加価値税:VAT5%→撤廃)
ドイツ生理用品の消費税率を引き下げ(19%→7%)
NPOが無料設置活動を展開
ケニアタンポン税を廃止(世界初)
学校での無償配布を推進
ニュージーランド学校での生理用品の無償提供
フランス公立学校で生理用品の配布を開始
スペイン生理休暇制度を法制化(ヨーロッパ初)
※16歳以上の少女を対象に生理による体調不良に対する「有給の生理休暇」制度(費用は国の社会保障制度が負担)

生理の貧困 を技術でサポート「フェムテック」

「フェムテック」とは「female technology」の略称。

女性の健康の課題をテクノロジーで解決する製品やサービスのことで、生理用品もフェムテックの1つ。

フェムテックは女性の身体的・精神的負担を軽減

フェムテックの起源は1960年代。
このとき開発・承認されたのが経口避妊薬(ピル)。

コンドームから約100年遅れてのこと。
この技術により男性主体の避妊が、女性主体でも安全に避妊できるようになった。

フェムテックは女性の体特有の悩みを解決する技術。
身体的だけでなく精神的な負担も軽減されることになる。

世界のフェムテック市場

フェムテック市場は現在拡大中。
2018年には6億2000万ドルを突破。

2025年7月更新世界のフェムテック市場規模(参照データ

世界市場規模備考
2018年約6.2億ドル初期成長期
2023年約12億ドル2倍近くに拡大
2024年約78億ドル急成長フェーズ
2025年(予測)約912億ドルCAGR 17.9%で拡大中

2018年には「#MeToo」運動などフェミニズムの拡大を背景に「2030年には少なくとも30億ドルに到達する」と推測されていたが、2024年で急成長し約78億ドルに到達。

FORTUNE BUSINESS INSIGHTの特集によると、2032年には約2,889億ドルに達する見込み。

生理の貧困 対策:フェムテック市場で今後の成長が注目される分野

  • 妊娠・不妊分野:最も経済効果が高いとされる領域
  • 月経ケア:吸水ショーツや周期管理アプリなどが人気
  • 更年期ケア:今後の成長領域として注目
  • セクシャルウェルネス:タブー視の緩和により市場拡大中

吸水ショーツが注目されている理由

吸水ショーツは「ナプキン不要の日常」を目指すフェムテックの象徴

吸水ショーツ人気TOP3(2025年度版)

吸水量は実測値またはメーカー公称値(多い日には生理用ナプキン併用が推奨)。

1日あたりの経血量 ※150ml以上は経血過多

経血量タイプ1日目2日目
(最も多い)
3日目4日目以降総量
(目安)
少ない人約6ml約8ml約4ml微量約20ml
平均的な人約24ml約32ml約16ml約8ml約80ml
多い人約42ml約56ml約28ml約14ml約140ml

第1位 ユニ・チャーム「ソフィ 体にフィット吸水ショーツ」

吸水量(目安)50mL

ボクサー型でフィット感抜群。
羽収納あり

第2位 Be-A Japan「シグネチャーショーツ 04」

吸水量(目安)約68mL(実測)

最大125mL吸収。
多層構造で安心。

第3位 グンゼ「cherish moon 吸水サニタリー」

吸水量(目安)約50mL

総レース&50mL吸収。
ナプキン併用にもいい。

日本のフェムテック市場

日本の生理用品は吸収力・肌触り・衛生性・デザイン性などで世界的に高く評価されている(特に「ユニ・チャーム」や「花王」の製品は、アジア諸国を中心に輸出が盛ん)。

  • 東南アジア(特にタイ・ベトナム・インドネシア)では「日本製=高品質」のイメージが強く、現地ブランドより高価格でも選ばれる傾向があります。
  • オーガニック素材や吸水ショーツなどのフェムテック製品も輸出が増加中

オーガニック素材が好まれる理由

理由詳細
肌へのやさしさオーガニックコットンは化学薬品や農薬を使わず栽培され、敏感肌やアレルギー体質の方にも安心
経皮吸収への配慮デリケートゾーンは経皮吸収率が高く、化学物質の影響を避けたいという意識が高まっている
環境へのやさしさ有機栽培による土壌保全や水質保護など、サステナブルな選択として支持されている
冷え対策高分子吸収剤を使わないことで、冷えによる生理痛や不妊リスクを軽減するという声も
心理的安心感「自然由来の素材を使っている」というだけで、安心感や満足度が高まる傾向がある

日本のフェムテック市場を牽引している企業

大手・上場企業の代表例

企業名主な取り組み
ユニ・チャーム生理用品ブランド「ソフィ」
生理日管理アプリ「ソフィガール」など
花王女性向け健康相談窓口の設置
婦人科検診の推進
シャープ生理用品のIoT収納ケースを開発
周期管理を支援
小田急電鉄不妊治療支援サービス「ファミワン」導入
産婦人科オンライン診療
丸紅社内セミナーやオンライン診療システムの活用
男性社員も参加

注目のスタートアップ・ベンチャー企業

企業名主なサービス
株式会社エムティーアイ生理・妊活アプリ「ルナルナ」、産婦人科向けオンライン診療
株式会社ネクイノ婦人科特化型オンライン診療「スマルナ」
fermata株式会社フェムテック専門EC「fermatastore」、セミナーや啓発活動も展開
株式会社TRULY更年期ケアに特化したメディア運営、チャット相談サービス
株式会社Lily MedTech痛みや被ばくのない乳がん診断装置「リングエコー」開発

その他の注目企業

  • 株式会社エイチームウェルネス:生理日・体調管理アプリ「ラルーン」
  • 株式会社エバーセンス:妊娠アプリ「ninaru」
  • 株式会社Entale:LINEで使える生理管理サービス「ペアケア」
  • 株式会社Cradle:法人向け女性ヘルスケア支援サービス

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