異世界料理が不味いから改革『異世界でカフェを開店しました』

わたしの読書記録
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 「異世界でカフェを開店しました。」の第13巻が、2023年9月15日に発売になりました。

 13巻では二年生になった王立学院の料理科の生徒が新しい課題「他学科との合同授業で料理を作ること」にチャレンジしたり、主人公リサが営むカフェの模倣店が出てトラブルが起きたりします。

異世界でカフェを開店しました。13/Amazon

 この作品の面白いところは異世界の料理が『まずい』というところ。

 不味い食事はストレスの元であり環境改善のために主人公のリサは周囲の人たちの助けを受けながら食文化の改善と発展を目指します。

 登場人物の多くは善人なのでホッと一息つける癒し系の漫画とも言えます。

 この世界で、「料理がまずい国」と言われやすいのがイギリスです。

 なぜイギリス料理はまずいといわれるのか、実はイギリスの歴史が関係しているようです。

 イギリスの食文化の発展を阻害した原因のひとつが、イギリス史上唯一共和制だったピューリタン革命(1640~60年)からの400年間、「ジェントルマン」と呼ばれる人たちがイギリスの支配階層にあったことだと言われています。

 この「ジェントルマン」はプライドが高く、服装、マナー、飲食、生き方全般においてジェントルマン独自のルールを決めました。

 このとき飲食のルールは「ジェントルマンは暴飲暴食はせずに質素な食事を好む」というもの。

 もともとイギリスは氷食地で、全体的に痩せ地なので野菜の多くが育ちにくい環境です。
 特に冬場の野菜不足は深刻で、イギリスがアイルランドを植民地化した目的のひとつは「農産物を供給するのがため」といわれています(アイルランド人は農奴扱い)。

 野菜が少なければ料理の品数は少な目、”質素な食事”なため肉はただ焼いただけ、スープが食卓に並ぶのは稀……ジェントルマンたちが食事の興味を持たなかったのがイギリス料理の発展を遅らせたと言っても過言ではないようです。

 さらに追い打ちをかけたのが、18世紀後半に起きた産業革命。

 都市部では工業製機械工業を中心に就業機会が増えて人口が増加、一方で農村部の人が大幅に減りました。

 農村部に人が多かったときは食材の自給自足が可能でしたが、農村部から多くの人が都市部に流入すると店で食材を買いそろえる必要が出たため料理文化が断絶しました。

 さらに需要が供給を上回るため食材の価格は高騰し、低所得者はろくな食事がとれず栄養状態が悪化するなどの社会問題も発生しました。

 低所得者の栄養問題が改善されたのは19世紀半ば、トロール漁法が発明されたことで魚が都市部にも流通したことでイギリス料理の代名詞「フィッシュアンドチップス」が出回るようになってからだそうです。

参考:イギリス料理が「マズい」と言われる本当の理由 | 経済は地理から学べ! | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

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