子どもの幼稚園でサツマイモの収穫体験がありました。
迎えにいった子どもの手についている黒い汚れに気になり「手を洗っていないの?」と聞けば、洗っても落ちないとのこと。
土汚れではないのか?
肌がカサカサの部分に土がついているのだと思い、家でぬるま湯につけたあとに石けんで手を洗ったら落ちたので、そこで終わりと思いきや……
子どもから受け取ったサツマイモを大学芋にするために切っていたとき、手がベタベタに……よく見ると「 灰色のベタベタ 」がついていました。
この「 灰色のベタベタ 」の正体は?
ヤニ質の「 灰色のベタベタ 」は樹脂配糖体ヤラピンという
「 灰色のベタベタ 」は新鮮なサツマイモを切ったときに出てくる白い乳液が時間が経って変色したものです。
この白い乳液はサツマイモに含まれるヤラピノール酸とオリゴ糖からなる「樹脂配糖体ヤラピン」という物質で、ヤニ性で最初は白いですが直ぐに黒っぽく変色していきます。
時間が経つと松脂(松ヤニ)のように取れにくくなってしまいます。
ヤニ質の「 灰色のベタベタ 」は酸素系漂白剤+重曹で落とす
ヤラピンは樹脂配糖体、脂に糖がくっついたものなので40℃以上の温水で洗うと落ちやすくなります。
ヤラピンは漂白剤で落とすのですが、酸素系の衣類用漂白剤では漂白剤の働きが弱いので次の方法でパワーアップします(併用可能)。
- 浸けこみ時間を長くする
- 浸けこみ温度を40℃以上にする
- 重曹を加える(アルカリ性にすることで漂白力が高まる)
漂白剤は酸素系のものを使います。塩素系の漂白剤を上の方法でパワーアップさせると、色柄が色落ちしてしまいます。
水蒸気にあてると熱で脂と糖が溶けて漂白力も高まるため、アイロンのスチームをあてるなどの策がネットに出ています。
サツマイモの整腸作用は「 灰色のベタベタ 」のおかげ
ヤラピンには腸の動きを促進し、便を柔らかくする働きもあるため、これが水溶性食物繊維(ペクチン)との相乗効果で下痢や便秘に効くとされています。
さらにヤラピンには胃粘膜を保護する作用もあり、サツマイモは漢方では「蕃薯」と言われています。
いまでこそサツマイモと言われていますが、この「薩摩地方からきた芋」を意味する呼び名は江戸中期からで、それまでは甘藷・唐芋・蕃薯といわれていました(サツマイモを日本に広めるキッカケになったのは青木昆陽の「蕃薯考」でもある)。
またサツマイモを食べるとおならが出るのは腸内の異常発酵のせいで、サツマイモを皮付きで食べたほうが胸焼けや腸内での異常発酵を抑えてガスを貯めない作用が働くため、結果としておならが出にくくなります。
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