初潮(初経)の低年齢化――これは、初潮が早くなること自体よりも、思春期が早く始まることで、心身の健康にどのような影響が生じるのかという点が問題とされている。
- 思春期の早期化:乳房の発育など、思春期の身体的変化が早く始まること。
- 初潮の早期化:初めて月経が起こる年齢が早くなること。
初潮の平均年齢は何歳?
日本の女の子の平均初潮年齢は12.2歳
国立成育医療研究センターは、日本の女の子の平均初経年齢を約12歳と説明している。
1961年には13歳2.6か月だった平均初潮年齢が、2011年には12歳2.3か月となっているため、この50年の推移を見れば「平均初潮年齢が1歳ほど早まった」と言えるが、「急速に低年齢化している」とは言えない。
女性の生理と妊娠等に関する健康について(2021年10月の資料)
アメリカでは11歳未満の初潮が増えている
2024年に医学誌『JAMA Network Open』に発表された、約7万1,000人を対象とするアメリカの研究では、2000~2005年生まれの女の子の平均初潮年齢は11.9歳で、1950~60年代生まれの女の子に対して約7か月早まった。
この研究で重要なのは平均初潮年齢だけでなく、11歳未満で初潮を迎える人の割合が約1.8倍になったこと。
2024年に公表されたアジア6か国・約50万人を対象とする研究でも、出生世代が新しくなるほど初潮年齢が早まる傾向が報告されている。
どうして初潮の低年齢化が起きているのか?
原因は一つではなく、現在の研究では、栄養状態、体脂肪、遺伝、生活環境、心理的ストレス、環境化学物質など、複数の要因が関係すると考えられている。
① 栄養状態の改善と体脂肪の増加
比較的根拠が強い要因。
かつては栄養不足によって成長や性成熟が遅れることがあったが、栄養状態の改善によって、子どもの成長が早くなった。
さらに、体脂肪は単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、ホルモンの働きにも関係している。
脂肪組織から分泌されるレプチンなどの物質は、脳が体のエネルギー状態を把握する手がかりになり、小児期の肥満や体脂肪の増加は思春期の早期化と関連していると考えられている。
ただし、肥満だけが原因ではなく、痩せている女の子でも初潮が早く来ることはある。
② 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)
近年、特に研究が進んでいる分野。
プラスチック製品や化粧品などに関連する一部の化学物質には、体内のホルモンの働きに影響を与える可能性があるものがある(例:フタル酸エステル類、ビスフェノール類など)。
2025年に公表された系統的レビューでは、環境化学物質への曝露と女の子の乳房発育の早期化との関連が報告された(注意:調べられているのは主に乳房の発育であり、初潮そのものとは異なる)。
また、化学物質の種類によって研究結果が異なり、日常的なプラスチック製品の使用が初潮の低年齢化を直接引き起こすと確定したわけではない。
初潮が早くなると、何が問題なのか?
問題を大きく分けると「子どもの時期に生じる問題」と「成人後の健康リスク」の2つある。
身体の成長が早く終わる可能性がある
思春期が通常より著しく早く始まり、骨の成熟が進むことで最終的な身長に影響する場合がある。
こうした早い思春期の進行は、医学的に「思春期早発症」と診断されることがある。
但し、この場合の「早く」は、女の子の場合は8歳未満、男の子の場合は9歳未満で「疑われる」症状であり、初潮が平均より早いだけでそう診断されるわけではない。
女の子の場合、小学校1~2年生で「胸が目立ってきた」や「急に身長が伸び始めた」という様子が見られた場合に、小児科や小児内分泌外来への相談が推奨される。
心の発達と身体の発達に差が生じる
小学校低学年などで初潮を迎えた場合、身体は思春期に入っていても、本人が月経の意味や対処方法を十分理解していないことがある。
- 突然の出血への恐怖
- 生理用品の扱いへの戸惑い
- 周囲との身体的な違いへの羞恥心
さらに、身体が大人びて見えることで、周囲から年齢以上の成熟を期待されたり、不適切な性的関心を向けられたりする問題も考えられ、早い思春期は心理的・社会的な困難と関連することが知られている。
また、初潮が早くなれば、その分だけ月経と付き合う期間も長くなる可能性がある。
生理痛、経血漏れへの対応、生理用品の費用、学校生活への影響など、月経に伴う負担がより幼い時期から始まることになるため、安心して生理用品を利用できる環境や、月経について相談できるようにすることが重要。
ただし、初潮が早かったすべての子どもに問題が起こるわけではない。
成人後の病気との関連が報告されている
2022年に公表された、39か国・680万人以上を含む研究を統合したレビューでは、初潮が早かった女性について、成人後の子宮体がんや乳がんとの関連が報告された。
例えば乳がんについては、初潮が早いことで、生涯にわたり女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなることが、一つの説明として考えられている。
子どもの初潮に対し、保護者にできることは?
初潮の年齢を家庭で自由にコントロールすることはできないが、子どもの健康と安心を守るために、適切な栄養、十分な睡眠、日常的な運動、無理のない体重管理などを心がけることは大切。
また、初潮が早くても遅くても、本人が自分の身体を否定的に捉えないようにすることが重要。
ただし、女の子が8歳未満で思春期の兆候を示す場合は、思春期早発症の可能性を考えて、小児科医への相談がいいことは分かった。
シングルファザーが娘の初潮・生理で悩む話はSNSなどでよく見かける。
私は娘と同じ女性なので、戸惑いは少なかったが、やはり戸惑った。
ただ自分のときの経験を活かして、特別な出来事として大騒ぎせず、ナプキンやトイレに置くゴミ箱を変えたりする都合上で「教えてくれたこと」に「ありがとう」と言って終わった。
これが正解か分からないが、それ以降は経血汚れの落とし方の相談をされただけだ。
生理はプライベートなことであり、友だち同士でも察し合うことはあっても話すことはないという。
まあ、そういうものだろう。
初潮が早いか遅いかにかかわらず、大切なのは、子どもが自分の身体の変化を怖がらず、困ったときに相談できる環境を整えることなのだと思う。
初潮を迎えたことを特別に祝う家庭もあれば、普段どおりに接する家庭もある。
どちらが正解というよりも、本人がどうしてほしいかを大切にしたい。
生理は本人のプライベートなこと。
それでも、必要なときにはいつでも頼ってもらえる親でありたいと思う。

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