ある日、 GoodNovel から作家契約のオファーが届いた。
「小説家になろう」で連載していた作品を、ぜひ弊社で掲載しませんか――という内容だった。
当時の私はGoodNovelというサービスをほとんど知らず、しかも相手は海外企業。正直、最初に感じたのは期待よりも不安だった。
これは本当に信用していい話なのか。
詐欺ではないのか。
著作権を奪われるのではないか。
報酬はきちんと支払われるのか。
今回は、実際にGoodNovelと契約した作家の立場から、契約前に確認したこと、著作権や著作者人格権、報酬の受け取り方法、そして注意すべき詐欺リスクについてまとめてみたい。
GoodNovel の運営会社は実在している
GoodNovelを運営している企業「New Reading」は外資系のIT企業(親会社は中国企業)。
New ReadinはシンガポールのACRA(企業規制庁)に正式登録された実体のある企業。
エンタメコンテンツアプリGoodNovelとGoodShortの2025年11月時点での月間売上は合計約2.5億円。アジア圏を中心に急成長している。
外資系企業のため、報酬の単位はドルである。
但し、GoodNovelの編集者を騙る者による詐欺は発生しているので注意が必要。
X(旧Twitter)のメッセージ(DM)で勧誘された作家は多く、それを利用して詐欺が行われている。
- LINEなどへの誘導を行うことはない
- 免許証や銀行口座の確認はしない(GoodNovel公式サイトでの登録のみ)
- Xのアカウントに認証バッジ(青バッジ)はGoodNovel公式の認証ではない(「有料加入者である」という意味のみ)
GoodNovel JP 編集部(@GoodnovelJP)がフォローしている編集者ならば本物の可能性が高い
GoodNovel に著作権は奪われない
まず、 GoodNovel との契約の対象になるものは作品であり、作家本人ではない(雇用契約ではない:他のプラットフォームで活動しても問題はない)。
作品ごとに契約を締結することになる。
GoodNovelに限らず、海外の出版業界全般の契約傾向として契約前に弁護士・契約翻訳家に依頼する作家も増加している(2024→2025年で増加)。
著作権は作家のもの
- 契約する作品
- 契約する作品のスピンオフなど関連作品
- 契約する作品の外国語版などの派生作品
これらの著作権・権原・利益は作者だけが所有する(独占的所有者)ことを認める内容が契約書にはある。
独占的所有が認められていれば、著作権は作者だけのもの。
放棄するのは「著作者人格権」|著作権とは違う
契約書で、GoodNovel (New Reading)は作者に対して「著作者人格権」を放棄し、行使しないことを要求している。
作者がのちにこの権利を行使すると、配信サービス側に不利益が発生する可能性があるため。
具体的には、著作者人格権を作者が行使することで「購入した作品が読めなくなる」「著作物の内容が大幅に変更される」などGoodNovelの提供するサービスに不利益を与える可能性がある。
著作者人格権を行使しないという特約を契約に盛り込むことは珍しくない。
著作人格権には3つの権利がある
- 公表権: 著作物を公表するかどうかを決定する権利。
- 氏名表示権: 著作物に著作者名を表示するかどうかを決定する権利。
- 同一性保持権: 著作物の内容やタイトルを無断で改変されない権利。
書籍化・映像化の権利はGoodNovelに許諾している
作者は GoodNovel(New Reading)に対して次の権利を許諾することになっている。
- 契約した作品の複製・書籍化・メディア化などの契約に対する権利
- 合法的な出版資格を持つ第三者に作品の出版を許可する権利
GoodNovelへの許諾期間は作者の死後70年間有効
作品の許諾期間は、シンガポール共和国著作権法 2021 年に基づく著作権保護期間となっている。
具体的に言うと、提供開始日から始まり、作者の死後70年後が満了日となる。
期間は、英語圏の電子出版契約では一般的であり、日本では馴染みがないだけでGoodNovelが独特というわけではない。
この点を問題視するかどうかは個人による。
ちなみに、私は問題にしなかった。
私の死後の話であり、『遺産』として残された作品の書籍化や映像化についての権利を家族が主張するとも思えない。
逆に、私の死後も作品を管理してもらえると思えばありがたくもなる内容である。
GoodNovel からの報酬の支払いについて
GoodNovel で発生した報酬を日本の銀行で受け取ることはできるが、外貨(主に米ドル)で送金されるため、日本円での受取りには為替レートと手数料が影響する。
報酬の受取方法について
GoodNovelが提示している報酬の受け取り方は3つ。
- PayPal
- オンライン決済代行サービス
- PayPalで報酬を受け取った場合、ドルから円に換金して日本国内の銀行口座に振り込む方法が一般的(為替手数料が高めなのでWiseやPayoneer経由の方が有利)
- Payoneer
- Payoneerの口座を開設すると海外からの送金を手数料をかけずに受け取ることが可能
- 外貨のままPayoneerの口座内に保持しておくことができ、2%の為替手数料を払うことによって日本の銀行口座に引き出すこともできる
- Payoneerについては「Payoneer で海外アプリの報酬を受け取る方法」に詳しく記載
- 銀行振り込み
- 海外からの送金を受け取る場合は1回あたり1000~2500円程度の受取手数料が必要
報酬の支払い
GoodNovel運営会社(NewReading)は作者に対し、前月の決済明細書を提出。
報酬は前月の末日から30日以内に一括して支払われる($100未満の場合は繰り越し)。
契約書にも報酬の受け取り方法(支払方法)の項目があるが、手段については空白になっているので、契約後も変更できる。
GoodNovel と契約してみて
GoodNovel と契約したことは、私個人としては正解だった。
私にとってWEB小説を書くことは育児をしながら自宅で仕事をするというライフスタイルに合っており、仕事として最低限の収益を出さなければいけないと思っていた。
小説を書くと決めたとき投稿したプラットフォームは「小説家になろう」だった。
運よく出版社の目に留まり書籍化ができたが、「小説家になろう」など日本のスカウト待ちサイトはどれだけ書いても収入ゼロ円のリスクが高い。
運では不安定要素が大き過ぎると思ったところにGoodNovelからのオファー、渡りに船と思い乗り込んでみた。
契約書には著作者人格権の不行使や、死後70年の許諾期間など、日本の投稿作家には馴染みのない内容もあり慎重な判断が必要ではある。


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