誕生石には特別感があり、私がそうだったように子どもたちも自然と「誕生石」に興味を持った。
ここまでは良かったが――これは、私が大人になってしまったからなのだろう。
誕生石を誰が考えたのか。
そんなことを思ったきっかけは、2021年に「60年ぶりに誕生石が改訂された」という記事を見たとき。
「ん?」と思った。
誕生石は、根拠はないが、なんとなく、「天文学で決めた」というような神秘的な決められ方があると思っていた。
しかし、何か根拠があって決めたならば「改訂」はおかしい。
調べてみた結果、残念なことになった。
誕生石には神秘的な要素結論、そんなものはなく、宝石商組合が制定しており市場の需要で追加・改訂されることが分かった。
誕生石は国ごとに異なり、日本はZHO(全国宝石卸商協同組合)が決めているとのこと。
誕生石なんて誰が考えたのか
誕生石の起源は、一説には新約聖書の「ヨハネの黙示録」に登場する12の宝石が由来とされる。
その後、アメリカの宝石商組合(現ジュエラーズ・オブ・アメリカ)が誕生石リストを作り、それを日本が1958年に採用した形になっている。
この1958年に誕生石リスト(日本独自)を制定した団体が全国宝石卸商協同組合(ZHO)。
2021年の改定は、このZHOと日本ジュエリー協会(JJA)が共同で選定したとされている。
誕生石の由来となった「ヨハネの黙示録」
「ヨハネの黙示録」とは、新約聖書の最後に位置する預言書。
伝統的には使徒ヨハネ、学問的には「パトモスのヨハネ」によって書かれたとされていて、ドミティアヌス帝(在位81–96年)の統治下での迫害や経済政策が文中に反映されていることから、紀元1世紀末、西暦92年から96年頃に書かれたと推測されている。
このヨハネの黙示録で「12の宝石」は、「神が想像する新しい世界を象徴する都市、その城壁の土台が宝石で飾られている」という形で登場する。
“城壁には12の土台石があり、それぞれが異なる宝石で飾られていた。”
この12の宝石が「12カ月」という連想で後世の誕生石文化へと繋がったと言われているが、このときの宝石は「豪華さ」ではなく、神の完全性・純粋さ・永遠性を象徴するために使われている。
ヨハネの黙示録に登場する宝石
ヨハネの黙示録で登場する「12の宝石」は古代地中海世界の高位の象徴石であり、「12の宝石」はそれぞれに意味がある。
だが、宝石の象徴を並べると「何を信仰していても『神』に求める本質は似ている」 と感じられる。
- 守護(碧玉 / Jasper)
- 神は「守る存在」であること。
- 人間が不安や危険から逃れたいとき、 まず求めるのは 安全・保護・基盤。
- 古代地中海世界では神殿幕に使われていた。
- 真理(サファイア / Sapphire)
- 神は「真理を示す存在」であり、空の色である青は神の言葉。
- 人は混乱の中で 正しさ・方向性 を求める(示される正しさや方向性が宗教ごとに異なる)
- 古代地中海世界では紫の染料と結びついていた。
- 調和(瑪瑙 / Agate)
- 石の縞模様は「多様性の統合」。
- 人は争いのない世界、「調和」を神に願っている(どう調和するのかが宗教ごとに異なる)
- 古代地中海世界では祭祀の胸当てに使われていた。
- 生命(エメラルド / Emerald)
- 緑色は「生命」の色
- 神は 再生・繁栄・希望 を与える存在。
- 古代地中海世界では王権の象徴。
- 犠牲と純潔(赤縞瑪瑙 / Sardonyx)
- 赤と白の層は「犠牲と純潔」
- 神は 人の罪を赦し、浄化する存在(何を罪とするかが宗教ごとに異なる)
- 裁きと浄化(赤瑪瑙 / Sard・Carnelian)
- 赤は怒りと裁き、同時に浄化の炎。
- 神は 悪を裁き、世界を正す存在(何を悪とするのかが宗教ごとに異なる)
- 光と啓示(トパーズ / Topaz)
- 神の光が闇を照らす。
- 人は迷いの中で導きを求める(導かれる筋道が宗教ごとに異なる)
- 洞察(ベリル / Beryl)
- 透明な石は「正しく見る目」。
- 神は 真実を見抜く知恵 を与える存在(何を真実とするかが宗教ごとに異なる)
- 慈しみと赦し(クリソプレーズ / Chrysoprase)
- 柔らかい緑は慈悲。
- 人は 癒し・赦し・慰めを求める。
- 終末と覚醒(ヒヤシンス石 / Jacinth)
- 橙〜赤は終末の炎と新世界の始まり。
- 神は破壊と創造の両方を司る存在。
- 権威と純潔(アメジスト / Amethyst)
- 紫は祭司の色(※地中海文化圏+聖書文化に限定)
- 神は 権威・統治・霊的純潔 を象徴する
黙示録の宝石は「12の層」だが、宝石名としては Jasper が重複するため実質11種類。
「12の宝石」を日本の誕生石リストと比較してみた
黙示録の宝石のうち “8〜9種類” が日本の誕生石に採用されている。
※ヒヤシンス石を赤系ジルコンと解釈した場合、12月の誕生石が「ジルコン」なので9種類が採用されていることになる
日本の誕生石一覧(2021年改訂版・全29種)
- 1月
- ガーネット(柘榴石)
- 黙示録の象徴体系にガーネットは登場しない。ガーネットが「守護・情熱・血」の象徴として人気になるのは中世〜ルネサンス以降
- ガーネット(柘榴石)
- 2月
- アメシスト
- クリソベリル・キャッツアイ(追加)
- 3月
- アクアマリン(ベリルの一種)
- サンゴ
- ブラッドストーン(追加)
- アイオライト(追加)
- 4月
- ダイヤモンド
- モルガナイト(追加・ベリルの一種)
- 5月
- エメラルド
- ジェダイト(ヒスイ)
- 6月
- 真珠
- ヨハネの黙示録では12の宝石が土台となった城壁の、「城門の門が巨大な真珠でできている」と語られている
- ムーンストーン
- アレキサンドライト(追加)
- 真珠
- 7月
- ルビー
- 古代の宝石分類では「赤い宝石」は全てカーネリアン(赤瑪瑙)やサード(赤石)に含まれ、ルビーやガーネットなどの区別は中世以降の鉱物学で確立した。
- スフェーン(追加)
- スフェーン(チタナイト)は18〜19世紀に鉱物学で分類された近代宝石
- ルビー
- 8月
- ペリドット
- サードオニキス
- スピネル(追加)
- 9月
- サファイア
- クンツァイト(追加)
- 10月
- オパール
- オパールは古代では「虹色の石」「乳白色の石」などと曖昧に扱われ、明確な分類がなかった
- トルマリン
- トルマリンは18世紀以降にヨーロッパで分類された近代宝石。
- オパール
- 11月
- トパーズ
- シトリン
- 12月
- トルコ石
- ラピスラズリ
- タンザナイト(追加)
- ジルコン(追加)

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