GoodNovel から契約オファーが届いた——。
予想外の出来事だったが、調べていくほど魅力と不安が交差する選択肢だった。
この記事では実際に契約した体験をもとに、契約の流れ・報酬制度・注意点・リスクをまとめた。GoodNovelとの契約を検討している人へ、リアルな情報として参考になれば嬉しい。
GoodNovel からのオファー内容
どんな形で連絡がきたか
『GoodNovelーJP編集部』を名乗る人からTwitter(X)のメッセージ(DM)に契約の誘いがきた。
DMに届いたメッセージなので詐欺を疑った。
しかしTwitterのアカウントが本物(安全)かどうかを調べる手段はないため、詐欺であることを前提に Good Novel公式サイト で『作品の投稿方法』を調べた。
この時点で、私は勘違いしていた。
GoodNovelも『小説家になろう』のように投稿した作品を自由に公開するサイトだと思っていたが、GoodNovelは契約した作品のみが公開される小説投稿サイトだった。
契約のスタイル
GoodNovel との契約は作品ごとに締結する※。
※日本版では展開されていないが2024〜2025年以降、選考型オープン投稿制度が国ごとに試験導入中
5000文字以上を公開する

Goodnovel 公式サイトでアカウントを作成し、『作成する』をクリックする。
- 作品の基本情報を入力
- 5000(5.0K)文字以上を公開
- 5000字公開は契約審査条件であり審査落ちする可能性あり
- 契約を申し込む
- 契約時に独占契約か非独占契約かを選ぶ
- 独占契約
- GoodNovelのみで公開
- 他サイトで公開している場合は30日以内に削除する
- 非独占契約に比べて提供される報酬システムがいい(高い報酬が見込める)
- 日本国内レーベルとの関係は薄いため、日本国内の特定レーベルからのメディア展開を目指している場合は不向き
- 非独占契約
- GoodNovel以外のプラットフォームでも公開可
- 独占契約に比べて提供される報酬システムは悪い(報酬は低め)
- 独占契約
- 契約時に独占契約か非独占契約かを選ぶ
- 作品ごとに契約できる
- 「小説家になろう」で人気の作品はチアーズプログラムで有利かつ書籍化の可能性があるためGoodNovelとは契約しない
- 刺激的・感情的なR18展開の恋愛・ヒューマンドラマ・ファンタジーがGoodNovelでは好まれるが「小説家になろう」では公開できず、得意とするエブリスタでは利益が出にくい。
契約書に署名する
契約申請が契約書送付の段階に進むと、 GoodNovel より登録メールに契約書が届く。
契約書はDropBox signで、「business GoodNovel (business@goodnovel.com) has requested a signature/GoodNovelが署名を求めている」というメッセージを添えて登録メールに送られてくる。

「Review &sign」をクリックすると契約書が開かれ、契約内容の確認、電子署名、返送までがそこでできる。
返送後、GoodNovelから登録メールに契約締結のお知らせが届く。
GoodNovelの報酬体系
GoodNovelの報酬体系は、契約内容で変わる(作品ごとに管理)。
収益分配(比率)については契約書に明記されている。
契約書は“機密&公開禁止”のため数値は伏せる。
- 独占契約の場合
- 契約ボーナス + 完了ボーナス + 月次更新ボーナス + アウスタボーナス+収益分配
- 契約ボーナス:30,000(30K)文字に達した場合に$70
- 完了ボーナス:$200以上(総文字数による)
- 月次更新ボーナス(MAB):歴月に「25日更新+50,000文字更新」を達成した場合に$150
- アウスタボーナス:独占契約締結後6ヶ月以内に30万字及び30万PV数に達した場合に$1000+
- GoodNovel内部資料より作家談:独占契約は翻訳や広告展開対象になりやすい
- 非独占契約の場合
- $50の完了ボーナス + 収益分配
「本当に報酬はもらえるのか?」
未確認だがSNSでは受領者が存在している。
GoodNovel との契約で悩んだポイント
契約相手が外資系企業
GoodNovelやGoodShortのアプリを運営している企業は、2019年にシンガポールで設立された外資系のIT企業(親会社は中国企業)。
法人としてはシンガポールのACRA(企業規制庁)に正式登録された実体のある企業であり、手掛けているエンタメコンテンツアプリGoodNovelとGoodShortの2025年11月時点での月間売上は合計約2.5億円(アジア圏を中心に急成長中)。
報酬が外貨で支払われる
シンガポール法人であることから報酬は外貨(主に米ドル)で送金されるため、日本円に換金する際は為替レートと手数料が影響してくる。
GoodNovelが提示している報酬の受け取り方は次の3つになる。
- PayPal
- オンライン決済代行サービス
- PayPalで報酬を受け取った場合、ドルから円に換金して日本国内の銀行口座に振り込む方法が一般的(為替手数料が高めなのでWiseやPayoneer経由の方が有利)
- Payoneer
- Payoneerの口座を開設すると海外からの送金を手数料をかけずに受け取ることが可能
- 外貨のままPayoneerの口座内に保持しておくことができ、2%の為替手数料を払うことによって日本の銀行口座に引き出すこともできる
- 銀行振り込み
- 海外からの送金を受け取る場合は1回あたり1000~2500円程度の受取手数料が必要
結論:Payonner+ソニー銀行
契約書のリスク
GoodNovelに限らず作品の「著作権」は作家サイドにとって重要なポイントになる。
海外出版全般の契約傾向として契約前に弁護士・契約翻訳家に依頼する作家も増加している(2024〜2025年)。
著作権について
契約する作品およびこの作品のスピンオフなど関連作品そして外国語版などの派生作品の著作権・権原・利益は作者に帰属し、独占的所有者であることを認める旨が契約書に明記されている。
作者は複製、書籍化、メディア化などの契約をGoodNovel運営会社に許諾している(合法的な出版資格を持つ第三者に作品の出版を許可する権利を含む)。
著作権と著作者人格権の違いに注意
契約書の中には「著作者人格権」を放棄して行使しないという約束がある。
著作人格権には「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」の3つがあり、作者がのちにこの権利を行使すると配信サービス側に不利益が発生する可能性があるため(購入したのに読めなくなる、著作物の内容が大幅に変更されるなど)、特約という形で著作者人格権を行使しない特約を盛り込む契約は珍しくはない。
- 公表権: 著作物を公表するかどうかを決定する権利。
- 氏名表示権: 著作物に著作者名を表示するかどうかを決定する権利。
- 同一性保持権: 著作物の内容やタイトルを無断で改変されない権利。
許諾期間は作者の死後70年間
作品の許諾期間は提供開始日からシンガポール共和国著作権法 2021 年に基づく著作権保護期間(作者の死後70年)の満了日となっている。
GoodNovelとの契約において国内ではこの点を問題視するケースが多いが英語圏の電子出版契約では一般的であるし、私の場合は問題ではなかった。
これは私の死後の話であり、私の趣味の範疇である創作については夫も子どもたちも詳細を知らないため『遺産』として作品の権利を主張するとは思えず、逆に私の死後も作品を管理してもらえると思えばありがたくもある内容である。
海賊版への対策
海賊版についての対策はGoodNovelが実施するが、作者も必要な支援はしなければいけない。
報酬の受け取り方法について
報酬についてはGoodNovel運営会社が作者に対して前月の決済明細書を提出し、報酬は前月の末日から30日以内に一括して支払われる($100未満の場合は繰り越し)。
受け取り方法(支払方法)については空白になっているので、契約後でも自由に変更できる。
GoodNovel と契約してみた正直な感想
GoodNovelから契約オファーを受けたのは、本当に突然だった。
Twitter(X)のDMに届いた依頼だったから最初は「詐欺かもしれない」と疑ったが、しかし調べていくうちに、この依頼が本物ならば検討する価値があると判断した。
GoodNovelの場合、契約は作品単位で行われ、5000字以上を公開したのちに契約申請する仕組み。
契約方式には独占契約と非独占契約があり、報酬体系も大きく異なる。
独占契約は縛りが強いが、ボーナスや報酬の還元率が高い。私は「書籍化が狙えるもの」以外の作品をGoodNovel向けに書くことで、創作ジャンルを使い分ける戦略を選んだ。
契約書が送られてくる過程はスムーズで、署名は電子署名サービス(DropBox Sign)で完結した。
ただし契約書には著作者人格権の不行使や、死後70年の許諾期間など、日本の投稿作家には馴染みのない内容もあり慎重に判断する必要があり、内容の確認には生成AIに手伝ってもらったりと私なりに慎重に検討した。
契約書以上に悩んだのは、報酬を受け取れるか。
正確には「どうやれば手数料を少なく受け取れるか」で、報酬は外貨で支払われるため、小説家になろうなど日本国内の小説投稿サイトではなかった悩みが発生した。
報酬が実際に支払われるかについては、現時点で未確認だが、制度としての支払条件と手続きは明示されている。
外資プラットフォームとの契約に不安がありながらも、日本では公開が難しいジャンルやテーマで勝負できる場として魅力は大きい。
結果、私は挑戦する道を選んだ。

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