スーパーの目立つところにリンゴが並び始めた。
「まだ酸っぱいんだよな」と思いながら通り過ぎようとしたそのとき、ふいに――アップルパイが食べたくなった。
あの、サクッとしたパイ生地に、トロッと甘酸っぱいリンゴ。
冷たいバニラアイスを添えたらもう、完璧だ。
アップルパイといえば、いまやアメリカの国民的スイーツというイメージが強いけれど、実はルーツはイギリスにあるらしい。
諸説あるけれど、14世紀ごろのイギリスに最古のアップルパイのレシピが残っているそうで、そこから「アップルパイはイギリス生まれ」とされている。
しかもそのレシピ、砂糖は使われていなかった。
当時は砂糖が貴重だったからか、リンゴのほかにイチジク、レーズン、洋ナシなど、フルーツたっぷりのケーキのようなものだったらしい。
それを知って、ちょっと意外だった。
だって、イギリスといえば「料理が不味い国」として有名だから。
でも、以前調べたことがある。
イギリスの料理が不味くなったのは、ピューリタン革命(1640〜1660年)以降の話。
その後400年にわたって、「ジェントルマン」と呼ばれる支配階層が料理の文化を抑え込んだという背景がある。
つまり――アップルパイが生まれた14世紀のイギリスには、美味しいものがちゃんとあったということ。
なんだかそれが、ちょっと嬉しかった。
そしてやっぱり、アップルパイが食べたくなった。
以前、イギリスの料理が不味い理由について調べた結果は、漫画「異世界でカフェを開店しました」の記事で紹介。
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